支援学校の高等部を卒業して、就職できる人の割合

※知的領域の話です。

支援学校(知的)には、実は2種類あって、

特別支援学校(知的)

高等特別支援学校(知的)

があるそうです。

支援学校自体、数が少ないですから、高等特別支援学校というのは、もしかしたら、読者の方のおうちからは遠いかもしれません。

特別支援学校(知的)で、企業の障害者枠・A型作業所・B型作業所で働けるのは3割だそうです。残りはグループホームか、障碍者施設への入所となります。

 

が、高等特別支援学校(知的)は、卒業した人のほとんどが、月収10万円程度ではありますが、就職しています。ただ、何が違うかと言うと、高等学校の入試です。小学校4年生程度の学力がないと、受かりません。面接もあります。そして、一番違うのが、自力通学しか認めていないということです。就職したら、毎日会社が家まで迎えに来てくれるとかないですから、自力で会社まで通わなくてはなりません。

 

特別支援学校なんて、一種類しかないでしょって思われている方多いかと思いますが、実は違います。そして、高等特別支援学校(知的)は、数が少ないから、通うのが困難かもしれません。

 

公務員として働いている人とか、企業で働いている人とか、そういった人たちからすれば、月収10万円前後っていうのは異様なほど安いのですが、ただ、支援学校自体、療育手帳を持っている人がほとんどなので、持っている人は障害者年金がもらえます。決して贅沢はできませんが、つましくやっていけばじゅうぶんに生きていく事ができる、収入を得ることができます。

 

ただ、注意が必要です。高等特別支援学校も、一般的な高校と同じように、入学したら自動で卒業できるわけではありません。なので、卒業できるだけの力があるのかどうかっていうのも、よくよく考えて選択したほうがいいと思います。

愛着障害

何らかの要因で、乳幼児期に必要な養育者との間の愛着形成がうまくできなかったために起こるものであり、愛着障害という診断名はない。小学校を巡回していて見る限り、虐待(暴力・ネグレクト)によって起こることが多い。

 

初対面の人に暴言を吐き、暴力や、教室を飛び出て行ってしまうなど、派手な行動障害を呈する。極端に馴れ馴れしかったり、逆に全然ひとに寄り付かなかったりする。

 

実際、普通クラスにいる子供たちで、特に気になるのは、実は自閉症スペクトラム障害の子どもたちよりも、この愛着障害による行動障害の子どものほうだった。

 

愛着障害は診断名じゃないし、特別支援の対象でもないでしょうという教員はいますが、情緒障害の一種として扱われ、通級や、特別支援学級への入級をすることができる。

早期発見の重要性

小学校の教員をしていて思うことは、やっぱり早期発見の重要性です。

自分の子どもが1歳半検診で引っかかって怒っていたわたしがいうのも変ですが、

言い古されたように、ある程度大きくなってから発見されて支援をはじめても、

思うほどの効果は望めないことが多いのです。

 

療育っていうのは、

2歳から3歳くらいから始めるのが、一番効果的なのです。

特別支援学校の高等部(知的)に行くメリット

中学3年生で支援学級に所属しているお子さんの進路を考えるのって、

ほんとうに大変ですよね。

 

特別支援学校(知的)

サポート校

専門学校

通信制高校

 

いろんな選択肢があります。最近は、支援学校よりも、サポート校や通信制高校や専門学校のほうが人気なようです。しかし、残念ながら、中学校の支援学級で教えている先生は、入学した後のことまでは詳しく知らないことが多いのです。

 

知的な遅れのあるお子さんですと、中学校3年生で小学校4年生の内容を学習しているケースも珍しくはないですが、そういうお子さんが、果たして卒業できるまでその学校で面倒をみてもらえるかどうか、そこまで考えずに進路選択をするケースが多発しているようです。

 

わたしのママ友のお子さんで、自閉症スペクトラム障害を持っていて療育手帳も持っている子がいますが、中学校を卒業した後、専門学校に進学した直後に退学しています。理由は、勉強についていけなかったと言っています。

 

中退した場合、事前準備なく社会に放り出されることになります。その子は、食べ放題のレストランで簡単な補助作業をするアルバイトをしています。食べ放題なので注文を取る必要もないし、仕事も単純です。

 

わたしは、もし、その子が支援学校に進学したら、もしかしたら、卒業後企業に就職できたかもしれないのにもったいなかったと思っています。

 

支援学校高等部は、いろんな科に分かれていて、農業班、喫茶班、裁縫班、清掃班・・・など、就労に直結する勉強をしています。そして、いろんな企業にパイプを持っています。うちの子は軽いから支援学校にはいかなくても・・・と考える親御さんは多いと思いますが、同じ支援学校でも、上位で卒業した場合、先の進路は全然違ったものになるはずです。

 

更にあまり知られていないのが、支援学校の高等部を卒業したら、大学や専門学校を受験する資格が得られます。

 

わたしは、ママ友に恨まれたくないから、進路についてはあまり何も言わないようにしていましたが、なんで支援学校へ行きなよって言わなかったのか、悔やまれて仕方ありません。

知的障害・自閉症スペクトラム等と、しゅうぽつ(なかぽつ)

支援学校高等部(知的)を卒業して、障害者枠で就職しても、

辞めてしまったら、えらいこっちゃです。

本人も、家族も、途方に暮れちゃいますよね。

 

春になると、そういう過去の卒業生が、支援学校を訪ねてくることが多いです。

 

そこで、うまいこと利用できるのが、しゅうぽつ(なかぽつ)と呼ばれるやつです。

障害者就業・生活支援センター」のことです。

 

障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

障害者就業・生活支援センターとは? | 全国地域生活支援機構 (jlsa-net.jp)

 

就労移行支援っていうのが、就職後一定期間しかサポートしてくれないらしいですが、

しゅうぽつ、なかぽつは、面倒見がいいと思います。

グレーゾーンの通級、支援学級

学校や、職場などですごすのに、困ることがあるのにも関わらず、発達外来に行くと、診断名が付かないことがあります。それは、即ち、診断名が付かないから、普通の人として生きていかなくてはならないという意味でもないということを、今回はお話ししましょう。

 

学校や、職場、主婦の場合は家事をするときに、困ることがいろいろ出てきて、途方に暮れ、そして発達外来に予約を入れて成育歴などのヒアリングを受け、何に困っているか話、場合によっては簡単な検査をすることもあります。そのときに自閉症スペクトラム障害だとかLDだとか、知的障害だとか、診断が下りる場合と下りない場合がありますが、それは、医学的な領域でサポートできる範囲が限られているからなのです。

 

だから、実際のところ、どれだけ児童精神科医のところで診断を仰いでも、大丈夫だと言われてしまう子供が、支援クラスを利用できたり、通級を利用できたりするわけです。なので、そういうお子さんをお持ちの親御さん方は、「うちの子を障害児扱いするつもりか!?」などと、お怒りにならず、お話を聞いていただきたいです。

 

医学的なサポートを受けられないお子さんの中にも、やっぱり困り感が強いお子さんが大勢いらっしゃいます。通級で受けられるのは、自立活動という科目です。それでは自立活動とはいったいどんな科目でしょうか??

 

自立活動とは。自立活動は、苦手なこと得意なことの差が大きめのお子様にたいして、苦手なことをフォローして得意に近づけていくという科目です。板書をノートに書き写すのが苦手なお子さんがいたとして、なぜ苦手なのか、短期記憶が苦手だから、板書を書き写すまでに忘れてしまうのか、識字障害があって、文字がぼやけたりゆがんだりしてしまうのか。そのあたりを、学校心理士の先生や、担任の先生や、支援学級の先生や通級の先生の間でよく話し合って、対応を決めます。通級に通うお子さんの多くは、中学校に入るころには通級は卒業しますから、高校受験は普通にできるケースがほとんどです。

 

また、支援クラスに入れば、普通クラスで行っていた勉強も、お子さんにあった進み具合で受けることができますから、授業についていけなくてつらい思いをすることもなくなることでしょう。知的な遅れがあるわけでもないのに、授業がわからなくて学校に通うのが辛いっていうのが一番つらくないでしょうか?

境界知能

児童精神科を受診しても、知的障害と診断されず、でも、学校の授業についていくのはやや困難である。それが、境界知能です。IQにして70から85くらいまでかな?

小学校1年生くらいまでなら、なんとかいけるものみたいですが、小学校2年生くらいから困り感が出てきます。

 

著者のわたしも、小学校2年生で授業についていくことが難しい子っていうのに遭遇して、その多さにかなりびっくりしました。担任の先生は、そういう子供をピックアップしたら、専門職の先生たちと連携してフォローするかどうか話し合います。もちろん、心理の先生にも授業の様子などをみてもらいます。

 

で、フォローの方法としては、週に1回から数回の通級指導教室に通い、つまづきを感じている教科について、ちょっとづつフォローしていくことができます。通級指導教室は、自立活動を授業として行うことになっていますが、子どもに応じて、SST(ソーシャルスキルレーニング)やビジョントレーニング、カウンセリング、あと、つまづいている教科のフォローも可能です。(※支援学級になると、自立活動の時間を教科の学習のフォローにまわすことは難しくなるそうです)

 

小学校3年生までは、保育士などの支援員さんや補助の先生もいますので、その方たちにフォローしてもらうこともできますが、通級指導教室に通うという手もあります。

 

担任から通級を勧められた場合、「うちの子が障害児扱いされた!」とご立腹になるのだけはどうかおやめいただきたいです。通級指導教室は、いつか、困り感が薄くなってきたときに、終了するものなのです。通うメリットはあっても、デメリットはそんなにあるのかなあ。

 

なお、某大学のホームページでで調べたところ、知的障害があるお子さんの場合、通級に通うのは難しいのでご了承願います。