精神科とノーマライゼーション

精神科への入院、原則1年以内に…厚労省が方針
読売新聞 6月29日(金)7時38分配信

 厚生労働省は28日、精神科への入院を原則1年以内とする方針を決めた。

 入院治療の必要性がない患者を早期に退院させ、地域で暮らせるようにするのが狙い。退院支援に携わる精神保健福祉士らを配置するなどの取り組みを、早ければ来年度から始める。

 同日開かれた有識者検討会のとりまとめを受けた。

 国内の精神疾患による入院患者は約33万人(2008年)で、約22万人が1年以上の長期入院だ。10年以上の入院も7万人を超える。統合失調症が多いが、近年は認知症も増えている。

 入院期間を短縮させるため、発症間際で症状が激しい患者に対応する医師の配置基準を、現在の3倍と一般病院並みに増やす。精神保健福祉士作業療法士など、退院支援に当たる専門職も置くようにする。yahooニュースより。

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実は、昔は、20代で発病した統合失調症と思しき患者を、その患者が老衰で息を引き取るまで入院させ

たりしていた実情があったりする。70で亡くなったとして、50年も精神科に入院していたことになる。

わたしの知っている人で、こんな境遇に置かれていた人がいた。彼はつい最近、精神病院で息を引き取ったそうだ。

彼が精神科へ入院中、彼の親族の間では、まるで彼を戸籍からはずしたような扱いにしていた。

だから、彼は、身内の結婚式に呼ばれることもなければ、新しく来た嫁に紹介されることもなければ、

自分の親や兄弟の葬式に参列することも許されないまま、生涯を閉じたのだ。

困ったのは、彼の両親が既に死亡した後に、社会情勢が変わり、病院側が、彼の兄弟に彼の身元を引き受けるように打診する電話をかけはじめた頃だった。

気の毒な話しだが、新しく嫁や婿と、新しい暮らしをはじめた兄弟たちに、彼の身元を引き受けると言う選択肢は選べなかった。

彼が入院させられた当時は、ハンディキャップのある身内を、社会から隠そうとするのが普通で、今、わたしたちの世代の間隔からすれば、それは単なる差別でしかなかったのだけれど、それが、何十年もの時を経て、ノーマライゼーションが世間に浸透し、そして、病院側の対応も変わってきたのだけれど、今更、

長い年月を、精神病棟で暮らしてきた老人たちを、普通の暮らしに戻そうとするのも、なんだかな・・・と思ったりするのだった。国の医療費削減には、そりゃなるでしょうけど、どうなんでしょうか。