結婚と出産

幼稚園時代、将来何になりたいか聞かれると、迷わず
お嫁さんだの、
お母さんだのと、答えていた。

一体何に影響されたのだか、一生結婚せずに働くと言い始めたのは、
中学に入ってからのことだった。

結局、わたしは、30代にもなって恥ずかしい話だが、
お嫁さんだの、お母さんだのになりたかったのだ。

20代後半の頃から、身近な女性たちが、結婚したり出産したりするたびに、嫉妬のような感情が内側からわきあがってくるのを自覚していた。

数年前に、アメリカで出会った、高学歴のエリート女性は、
結婚して出産しても、夫が先立ったら仕方ないじゃないかと言っていたけれど、出産する前にある程度のキャリアを積んでおけば、ある程度子供に手がかからなくなってから職場復帰するの難しくはない話なのだ。

どうしてだろう、結婚して子供を産むのが女の幸せなのよという近所の世話焼きおばさんたちの言うことにちくいち反発心を持っていた時代があったことがまるで嘘のようだ。

今のわたしには、その通りに思えるのだから、不思議なのだ。