子育て自分育て

まめこの育児をしていて、
まるで、幼かった頃の自分自身を育てなおしているみたいだ、と感じたことが幾度もある。

わたしは現在、育休後に復帰ができず、専業主婦になったが、
わたしがまめこと同じ年だったころ、わたしの母は、産後8週間で公務員を辞め、
父の自営業の手伝いをはじめた。

今も覚えている。
幼かったころのわたしと兄は、
事務所兼自宅のあの家の2階の一番奥の部屋に、
外からかける鍵のついたあの部屋に、
両親の仕事中、ずっと閉じ込められていた。
閉じ込められてたといえば、聞こえは悪いが、
当時、お金がなかった両親にとっては、そうしてまで働く必要があったのだ。

その部屋で、兄にたたかるなどをはじめとするちょっかいを受けるようになってから、
わたしはピアノとレコードのある部屋に閉じ込められ、
日中はクラッシックレコードを聴いて過ごしていた。
絶対音感があるのは、そのせいだと思う。

両親の仕事中、母が外出しているとき以外はふたりとも別々の部屋で閉じ込められ、
隣の奥の部屋から抜け出してきた兄が、わたしのいる部屋の窓ガラスをベランダ側から割って、
中に入ってこようとするのが、とてつもない恐怖に感じた。

バリーン!
家を壊そうとするその音を聞いて、
父と母が2階に駆け上がってくる。

兄はいつも悪者に仕立て上げられ、
わたしはただただ怖い思いをしていた。

わたしは、自分の閉じ込められている部屋に、誰も入ってきてもらいたくないと思っていた。
何故そう思っていたのかわからない。

そんなことを、ふと思い出した。
だから、わたしはまめこをひとりで部屋に長時間放置しないようにしている。
そして、まめこの兄弟を作ることを、心のどこかで拒絶している。