妄想だけが症状の病気っていうのがあるらしい

10年ほど前読んだ精神医学の教科書には、2大精神病として、鬱病統合失調症が大々的にあげられていて、つづいて神経症認知症、そして最後に申し訳なさげに発達障害について書いてあった。大学院の教科書なので、ゆくゆくは専門職に就くひとたちも読んでいることになる。

その教科書によれば、妄想があれば、統合失調症もしくは認知症が疑われることになるのだけども、しかし、実際に、妄想だけあってそれ以外の症状はなく、日常生活も営めていれば、会社勤めもできているひとがいるのだ。

所謂、妄想症というやつなのだそうだ。
被害妄想だの嫉妬妄想だの、妄想の内容については詳しいページもたくさんググってみればでてくるので、割愛させていただきます。

10年前の常識は、現代の非常識っていうやつなのかもしれないけれど、まだ、教科書に載ってはいない真実っていうのは、他にもいろいろあるのかもしれないと、感じたエピソードであった。
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追記
この妄想だけが症状の老人のお話ですが、これを書いた数か月後、物忘れ外来にて心理検査(記憶テストみたいなもの)と脳の画像診断を受けたところ、海馬にはじまる脳の委縮が見られました。いわゆる認知症です。認知症のはじめのうちは、上記のように日常生活が営めますので、妄想だけが疾患なように思われますが、実はすでに始まっている記憶力の低下や判断力の低下を穴埋めするために現れた症状かもしれません。やはり、家族だけでなんとかしようとするのではなく、医師の診断というのは大事なことなのかもしれません。この老人の場合、認知症と診断されたおかげで、周りの人からの風当たりがすこし緩やかになってきました。以前は嫌われていましたので、これだけでもだいぶ違うと思います。