親にとって障害受容とは

専門職及び、療育関係者の方々は、早期発見を声高に言うけれど、

その対象となる子供の両親にとっては、これが結構酷な話かもしれないのです。

 

自閉症系の障害の場合、3歳児以降にやっと診断がつく場合が多いのですが、

2歳代で診断がつくお子さんの場合、障害がはっきり目ということもあって、療育すれば定型により近くなるだろうという親御さんの期待とは裏腹に、お子さんが成長すればするほど、より定型とは違う風に育っていくというジレンマがあり、はじめのうちこそ、「うちの子は発達障害じゃない。もしそうだったとしても軽い」とか「療育すれば定型に近づけるかもしれない」とか思っているけれど、その療育が何年にも及ぶこととなると、次第にあきらめを感じ始め、それが2年、3年経過すると、おかれている状況を受け入れざるを得なくなってくるというケースが本当に多いと思います。定型発達とかグレーゾーンのお子さんをお持ちの親御さんに、嫉妬心からくる不適切な怒りをぶつけまくったりする人もいます。

 

早期に障害を発見したところで、余計にお母さんたちを苦しめるだけになるんじゃないかとわたしは思うのです。

 

療育関係者とか周りの人たちからすれば、せっかく療育に来ているんだから、苦手なことを少しでも伸ばしてくれたらいいのに、おかれている状況を素直に受け止め切れていないのかしらと思えてくることもあるのですが、もし、自分が命と引き換えにするくらいの気持ちで産んだお子さんが、障碍児だったりしたら、誰だって素直にそれを受け止められないと思います。動揺したり、嘘だと思ったり、怒りを感じたり、そういう親の戸惑いを、周りの人は、もうちょこっと受け止めてあげるべきなのかなと、思います。

 

ただ、療育センターなるところに通うことによって、同じようにお子さんの様子を受け止め切れないほかのお母さんたちと、心の傷を分かち合ったりできるのなら、早期発見も悪くはないかもしれませんが、なにしろお母さんたちがいちばん大変な状況にありますから、場合によってはお母さん同士で子供を比べあったり、ひどい場合は、障害が軽そうなお子さんを持つお母さんをいじめたりするケースもあるので、一概にそうとも言い切れません。

 

今日読んだインターネットの記事で、子どもの障害を受け止めるということは、期待していた子どもの死を受け入れるのと同じようなものだと書かれていました。

 

過去に、中程度の知的の遅れをお持ちの自閉症スペクトラム障害のお子さんをお持ちのお父さんが、講演会を開かれていて、それを聞きに行ったことがあります。そして、そのお父さんに「お子さんの障害について受容はされていますか?」という質問を専門職の人がされていましたが、「受容なんてできるわけないでしょう?」と泣き崩れていました。もう、そのお子さんは高校生になっています。つまり、生まれて、障害を指摘されてから10年超経過しても、とてもとても受け入れることなんてできるわけがないんですよ。

 

そんな時、周りにいる、定型発達の子どもを持った友達は、なんと声をかけてあげたらいいのでしょう? 励ますことすら、傷を負わせることにつながるのかもしれませんし、だからと言って、距離を置くのも傷つけることにしかならないはずです。